捉え方が整うと、現実が動き出す|①
ある日、
「子どもが勉強しない」というご相談で、
Zoomセッションにいらしたサナエさん(仮名)。
シングルマザーの方でした。
「父親がいない分、私が厳しくしなければ」
「甘ったれにしてはいけない」
そんな思いを抱えながら、
息子さんとの毎日はバトル続き。
「もう気が狂いそうなんです」
と話してくださいました。
一人息子のワタル君(仮名)は、
中学1年生でした。
「ワタルは、飽きっぽくて楽な方に逃げる」
と説明されました。
小学生のときのこと。
習っていたサッカーを6年生まで続けず、
途中で辞めたことを
サナエさんは、今でも気にしていたのです。
ワタル君の辞めたいと言い出した理由は
「コーチが横暴だから嫌だ」。
サナエさんも、その状況は理解していました。
けれど、
チームのあるお母さんから言われた一言が、
深く、彼女の胸に刺さりました。
「辞めたいって言うたびに
辞めさせてたら、甘ったれになるよ」
その言葉が、
彼女の中で“正しさ”のように居座ったのです。
核心は、息子ではなかった
事前にいただく相談内容の文章内に、
こんな一文がありました。
「私は、父にとても厳しく育てられたので、
小学生の時からちゃんと勉強をしていました。
だけど、息子には
その役割をしてくれる存在がいないから、
甘ったれになるんだと思います。」
息子さんの話が並ぶ中で、
「私は、父にとても厳しく育てられました」
私には、この一文だけが強く浮き上がって見えました。
ここが、この方の核だと感じたのです。
セッションが始まると、
私は息子さんの話ではなく、
1番先に、こうお聞きしました。
「あなたとお父さんの関係を、
教えてもらえますか?」
彼女は少し驚いた表情をしました。
でも、話し始めました。
最初は淡々と。
けれど、次第に感情が混ざっていきました。
「最低な父親だったんですよ」
点数が悪いと殴られたこと。
常に勉強を強いられていたこと。
いまだに、そんな父を許せないこと。
怒りがあらわになる表情で語りながらも、
最後はこう言いました。
「まぁ…あんなやつ、
どうでもいいんですけどね。」
その一言で、
長年、サナエさんが蓋をしてきた感情がある
ということが、はっきりしました。
「あれは愛だったんですか?」
私はお伝えしました。
「お父さんは、大きく間違っていましたね。
それは事実です。」
でも、なぜ、
お父さんは、そこまで成績に固執し、
サナエさんを怒ったのでしょうか。
それは
「娘には将来、絶対に幸せになってほしい」
という、未来への恐れだったのではないか、と。
どうでもよければ、怒りは湧かない。
それは、
不器用な愛の裏返しだったのかもしれない。
もちろん、そんなものが、
小さな子どもに伝わるわけもない。
お父さんのやり方が、大きく間違っていた。
サナエさんは、なにひとつ悪くない。
でも、お父さんが
娘を愛していたことは、事実だった。
その瞬間、彼女は泣き崩れました。
「あれは…愛だったんですか?」
ずっと憎んでいたものの中に、
愛があったかもしれない。
「私は、父に嫌われてるんだと
ずっと思っていました」
奥に眠っていたその苦しい感情は、
涙と共に流れていき、
彼女はスッキリした顔をしました。
それは、
長年、思い込んでいたものを一つ、
彼女が手放した瞬間でした。
月曜日におきたこと
その週末、特になにごともなく過ごし、
サナエさんは月曜日を迎えました。
そこで、サナエさんは
自分の変化に驚くのです。
「一体何が起きているのでしょうか!
挨拶するのすら嫌だった社長に
今朝は、挨拶がスッと口から出たんです!
それだけでなく、
今までは、何を言われても
腹が立っていた社長に、
全く怒りが湧かないんです!」
そこで彼女は気づきました。
「私はこの社長に、父を重ねていたんだ」
偉そうに言うな!
黙れジジイ!
父と年齢も近いような社長に
どことなく父の面影を重ね、
ずっと「あの頃の怒り」を、
「私は憎まれていたという悲しみ」を、
無意識に向けていたのです。
でも、父への怒りがほどけた瞬間、
社長への怒りも静かに消えたのです。
社長は何も変わっていないのに。
⸻
そして——
彼女の変化は、
ここで終わりではありませんでした。
父への見方がほどけたとき、
息子さんへの見方も、
静かに変わり始めていきました。
(息子編へ続きます)
TERESA’S MESSAGE
子どもが勉強しない——
そんなご相談から始まりました。
けれど本当にほどけたのは、
息子さんではなく、
ご自身への見方、
お父さんへの見方でした。
外側の状況は、
変わらないことの方が多い。
でも、内側がほどけた瞬間から、
見える世界は静かに変わり始めます。
テレサとゆるりのセッションで起こるのは、
「誰かを変える」ことではありません。
捉え方が整うことで、
現実が自然に動き出す——
そんな体験です。
そして一番驚くのは、
あなた自身かもしれません。

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